業界別シリーズとして、業界ごとのICT活用、デジタル化の課題・対策、そして事例をご紹介いたします。
同じ業界はもちろん、他業界の皆さまにもより具体的に、自社に役立つデジタル技術や手法のヒントが見つかるかもしれません。
前回は【幼稚園・保育園・こども園】編をお届けしました。
【幼稚園・保育園・こども園】加速する「幼保現場のICT活用・デジタル化事例」7選
業界ごとのICT活用、デジタル化の課題・対策、そして事例をご紹介いたします。今回は【幼稚園・保育園・こども園】編です。浅間商事は幼稚園、保育園など幼保業界のお客さまが多くいらっしゃいます。近年は、印刷に限らないデジタル化に関するご要望・ご相談をお寄せいただいています。 | パソコン・複合機・ネットワークの総合IT商社は浅間商事
今回は【士業】編です。
「士業」を指すビジネスは幅広くなりますが、本記事では主に弁護士、弁理士、司法書士、行政書士、税理士、会計士、社会保険労務士、中小企業診断士の皆さまを想定しております。現在、浅間商事のお客さま、もしくは新規にお問い合わせをよくいただくお客さまです。
また、事業所規模は30名以下のお客さまが中心です。
行政の手続きや顧客の環境もデジタル化する流れの中、士業の皆さまも積極的に自らの業務のデジタル化を進めている印象があります。
本記事は、そのような士業の皆さまのデジタル化、そしてその先にある業務効率化やコスト削減のヒントになれば幸いです。
士業ビジネスのデジタル化課題と対策
士業ビジネス現場での具体的な課題例と、デジタルでの解決策をご紹介します。
書類が多い
申請書類やお客さまとのやり取りなど、扱う書類が多い。
【浅間のご提案】
行政への申請のオンライン化や、各種書類のデータ化など、ペーパーレスが進んでいます。まず、現在書類でやりとりしているものを、問題のない範囲でデータに置き換えていくことがおすすめです。
- 電子申請を利用する
- コミュニケーションはメールやビジネスチャット、書類はデータで
- FAXは送受信共にパソコンからデータで
- 紙の物はスキャンして電子化
Microsoft 365などのクラウドサービスであれば、WordやExcelの共同編集ができるため、特に社内での共有・やり取りはスムーズになります。
既に紙の物は、(紙で残すことが必須のものを除いて)スキャン、電子化がおすすめです。高性能な複合機であれば両面同時で高速スキャン、OCRで文字のデータ化などのオプションもあります。社内で難しければ、外部サービスもあります※。
書類は、作成の手間、保管場所、それを扱う人件費など、意外にコストがかかっています。データ化が進めば、家賃や書類管理のための人件費の削減効果があり、さらに検索性が上がるという利点もあります。
なお、紙媒体による情報漏えいは少なくなく、JNSAの調査によれば媒体・経路別の件数では約3割にのぼります。(JNSA:2018年 情報セキュリティインシデントに関する調査報告書【速報版】(3.3 媒体・経路別 漏えい件数))
※サービス例:キヤノン「スキャン電子化BPO」
非デジタルのコミュニケーションが多い
業務の特性上、顧客とは対面や電話などの非デジタルなコミュニケーションが多い。
【浅間のご提案】
対面や訪問に代わってWeb会議(ビデオ会議)の利用、電話はクラウドPBXがおすすめです。
オンラインであれば、移動の時間や労力、コストが削減できるだけでなく、移動がないためにスケジュール調整がしやすいというメリットもあります。諸事情で移動や訪問が難しいお客さまとのコミュニケーションのハードルも下がります。
また、クラウドPBXであれば、会社の番号をスマートフォンで受発信できます。そのため、外出が多い場合やテレワーク時も、外で会社の番号を受けるのはもちろん、転送電話も受けられます。サービスによっては通話内容をテキスト化する機能もあり、必要に応じて相談内容を迅速にデジタル化し、共有できます。
士業ビジネスでは、非デジタルのコミュニケーションがまだまだ多いと思われます。一方で、浅間商事のお客さまには逆に「顧客からリモート対応やITツールの導入を相談されている」ケースもありました。
お客さまのニーズに合わせつつ、デジタル対応の準備をおすすめしております。
セキュリティを厳しくしたい
扱う情報に機密情報が多く、セキュリティに対して特に厳しく考えている。
【浅間のご提案】
セキュリティ対策はどの業界にも重要なものですが、特に士業のお客さまは強い課題感を持たれる印象です。
浅間商事では必要最低限の対策として、「ウイルス対策ソフト」+「UTM」+「バックアップ」の3つの組み合わせをおすすめしております。より強力なセキュリティ対策には、ログ管理、バックアップを二重三重に取るといった事例があります。お客さまのご要望(特にご心配のポイント)に合わせてご提案しております。
- ログ管理事例:業界として情報漏えいは死活問題。セキュリティ対策としてログ管理をご提案。ISM CloudOneを基本ライセンス+ログ管理+外部デバイス制御でスタート。インターネット閲覧による脅威対策としてURLフィルターオプションもご検討中。
- バックアップ事例:SharePointやOneDrive、Exchange Onlineを活用。Microsoftサーバー上のデータのバックアップをさらに取りたいとのご要望があり、各サービスのバックアップを別のクラウドに保存するサービスをご提案、導入。
社内サーバーの管理が大変
ファイルサーバーや基幹ソフトのために社内サーバーを利用しているが、高コストかつ管理が手間。
【浅間のご提案】
小規模な事業所の場合、社内サーバーの利用は高コストかつ、管理に手間がかかります。また、設置・管理に大きなスペースが必要です。ファイルの共有・管理であれば、NAS(ネットワークHDD)、もしくはクラウドストレージがおすすめです。
NASはファイルサーバーに比べ安価です。バックアップ設定でセキュリティ対策の強化もできます。
また、クラウドストレージにはSharePointをおすすめしております。ファイルサーバーをSharePointに移行し、コストだけでなく管理の手間を低減させた士業のお客さまもいらっしゃいます。
クラウドストレージであれば、設定次第で顧客とのファイル共有にも利用できます。また、基幹ソフトもクラウドへの移行が普及し始めており、社内の基幹サーバーを廃止された事例もありました。
テレワークを導入したい
テレワーク(在宅勤務)を導入したいが、何から始めてよいかわからない。
【浅間のご提案】
「テレワーク導入」は、コロナ禍で士業のお客さまからお問い合わせが増えたテーマの一つです。
テレワークは、感染症防止策としてだけでなく、移動時間の削減による生産性の向上や、ペーパーレスが進むなどデジタル化の推進にもなります。
もともと一部在宅で業務をされていたお客さまが、テレワークの仕組みの導入により、資料を取りに行くためだけに出社する必要がなくなり負担が軽減された事例もありました。
テレワーク導入の際は、まず課題の整理がおすすめです。以下は課題例とご提案例です。
職員の在宅環境:
モバイルパソコン、ネット回線は最低限必要になります。最近のモバイルパソコンはデスクトップパソコンに引けを取らないスペックの機種が増えていますので、テレワーク導入に伴う入れ替えもおすすめです。
回線は個人宅で十分な回線が用意できない場合は、モバイルルーターを貸与するか、スマートフォンの貸与でテザリング接続する方法もあります。
電話やFAX、来客への対応:
事務所の電話は、クラウドPBXの導入によりスマートフォンで受発信できます。転送も可能なので、事務所の番号を自宅や外出で利用できるようになります。FAXは受発信ともにパソコンからデータで可能です。受信FAXは、PDFをメールで受ける、社内サーバー(NASなど)に保存させることで、共有も簡単になります。
また、来客対応は、Web会議によるリモート対応で回数を減らすことができます。
セキュリティが不安:
VPNやクラウドサービスの活用がおすすめです。浅間商事では、UTMにVPNオプション設定が可能で、セキュリティ対応とVPN接続の両方を実現させており、コロナ禍でご利用のお客さまが増えました。
また、セキュリティ対策は一つだけでなく、複数の対策を講じる「多層防御」が主流です。一般的な中小企業以上の、独自のセキュリティ対策を希望されるお客さまが、特に士業業界で増えている印象です。
社内コミュニケーションや情報共有:
Microsoft 365のような複数のサービスが利用できるクラウドサービスがおすすめです。クラウドサービスであれば、事務所/自宅といった場所を問わず、パソコン、スマートフォンなど、異なるデバイスでも同じ情報を利用し、共有できます。
会社メールの送受信、コミュニケーション(Web会議、ビジネスチャット)、職員間のスケジュール共有・調整、ファイル共有・共同編集など、テレワーク導入に合った機能が豊富にそろっています。
複数のクラウドサービスを導入されるお客さまも多いですが、IDやセキュリティ権限の管理が煩雑になりがちです。そのためMicrosoft 365のような1つのIDで複数のサービスが利用できるサービスに乗り換えるお客さまが増えています。
ITトラブル対応に時間がとれない
少人数の事務所のため、専任IT担当者がない。パソコンが動かない、ネットがつながらない、といったITトラブルが起こると業務が止まってしまうことがある。
【浅間のご提案】
小規模事業所さまの場合、ITに詳しい方が他の業務と兼務されるケースが多いようです。
もし本業に集中できず業務に支障が出る場合は、外部のサポートサービスご利用もおすすめです。浅間商事でも「ITサポート」として駆け付けサポートをご提供しており、お電話1本で訪問サポートしております。
また、社内でよくあるトラブルと解決方法をまとめたeBookを公開しております。ご参考になれば幸いです。
ITトラブル解決マニュアル ~中小企業IT担当者お助けeBookシリーズ
浅間商事の「中小企業IT担当者お助けeBookシリーズ 」。パソコンが動かない、ネットにつながらない…会社でよくあるITトラブルとその解決方法をまとめました。社員のITスキル向上、IT担当者さまの負担軽減に。
士業ビジネスで導入が多い機器や設備
浅間商事のお客さまで、導入が多い機器や設備、その利用目的についてご紹介します。
- デバイス(PC、スマートフォン)
- ネットワーク機器(NAS、UTM、Wi-Fi)
- セキュリティ対策(ウイルス対策ソフト、UTM、バックアップ設定、ほか)
- 各種クラウドサービス
- ITサポート
- ホームページパック
- その他(複合機、テレワーク導入など)
デバイス(PC、スマートフォン)
業務用パソコンのスペック、価格などをご相談いただき、選定・購入のお手伝いをしております。調子が悪くなった際の入れ替えや、パソコン初期設定の代行も行っています。
ネットワーク機器(NAS、UTM、Wi-Fi)
ファイル共有にNAS、セキュリティ対策にUTMを導入されているお客さまが多くいらっしゃいます。
NASは万が一に備え、バックアップ設定もご案内しております。また、UTMは浅間商事でVPNオプション設定が可能なため、VPN導入にもご活用いただいています。
Wi-Fi(無線LAN)では、事務所内で講習会を実施しているお客さまに、社内と受講者さま用にネットワークを分けるご提案および導入設定の事例がありました。(同じネットワークを利用すると、社内の情報にアクセスできる危険性があります。)
セキュリティ対策(ウイルス対策ソフト、UTM、バックアップ設定、ほか)
機密情報を多く扱う士業ビジネスでは、セキュリティ対策を重視されるお客さまが多くいます。
浅間商事では「ウイルス対策ソフト」+「UTM」+「バックアップ」の組み合わせを推奨。さらにお客さまごとに強化したいポイントに合わせたご提案しております。
特にUTMはよくご理解しないまま導入し、設定や運用が不十分なケースが散見されます。UTMの持つ機能や役割、ウイルス対策ソフトとの違い、機能しているかを確認する運用の重要性など、ご相談ください。
各種クラウドサービス
セキュリティに配慮しつつ、業務効率化やコスト削減のために、一部システムをクラウドに移行される事例が多くあります。
特にMicrosoft 365導入について、士業のお客さまから新規のお問い合わせが増えています。
士業のお客さまは、以前よりOfficeアプリ(WordやExcelなど)を利用されているお客さまが多くいらっしゃいます。Microsoft 365であれば、Officeを利用・連携させながら、TeamsによるWeb会議、SharePointによるクラウドストレージのご利用、Exchange Onlineによるメール同期やスケジュール共有もできます。
その他、基幹ソフト、ログ監視、IT資産管理ツールなどでクラウド導入の事例があります。また、電話の主装置をクラウド化し、スマートフォンなどでも会社電話を使えるクラウドPBXもクラウド化の一例です。
ITサポート
士業のお客さまで特に10名以下の規模の場合、士業の資格をお持ちの方がIT担当者を兼務しているケースがほとんどです。
本業で多忙にもかかわらず、業務の遂行のために高度なセキュリティ対策やIT知識が必要であり、お困りの方が多い印象です。
浅間商事のITサポートでは、一部のIT管理業務、障害復旧、社内からの問合せ対応などをサポートしております。IT関連業務の一部を外注することで、プロフェッショナルな本業に集中でき、さらにデジタル化の推進も実現できることから、ご好評いただいております。
ホームページパック
名刺代わりとしてはもちろん、信頼性向上のために「企業ホームページ」は必須と言って良いかもしれません。
浅間商事では中小企業向けのホームページパックをご用意しています。コストを抑えつつ、官公庁や大手企業でも採用されているシステムを使った高品質なホームページのパックプランをご提案しております。
その他(複合機、テレワーク導入など)
複合機(コピー、FAX用)の入れ替えの一方、ペーパーレスのご相談もいただいています。また、助成金を使ってのテレワーク導入、オフィスのフリーアドレス化のご相談と解決事例もあります。
浅間商事のお客さま事例
【社会保険労務士事務所さま、ほか】
ファイル保存・共有にNASを導入。NASにはバックアップを設定し、誤操作やサイバー攻撃によるファイルの消失に備える。
セキュリティを重視されるお客さまはUTMも導入。サイバー攻撃を検知したレポートをご覧になり、導入を決定。事務所移転のご相談からUTMを増設するケースも。
【会計事務所さま】
共同パートナーの方がIT担当者を兼務していたが、社内のITトラブル対応のために浅間商事のITサポートにご加入。
ご担当者さまの負担が軽減されただけでなく、当社からの定期的なご相談・アドバイスのご提供でセキュリティ強化やファイルサーバーの廃止など、新しいデジタル活用を進めることができるようになった。
【税理士事務所さま】
バラバラだったファイル管理やメールをMicrosoft 365に統合。ファイル管理はTeamsご提案。顧客ごとの情報管理だけでなくファイル管理もTeamsで行うように。
メールはGmailに転送していたプロバイダーメールを、Exchange Onlineへ移行。自社ドメインのメールを、パソコンとスマートフォンなど異なるデバイスでも同期できるようになった。
【法律事務所さま】
プロバイダーメールのPC・スマートフォン間の同期がうまくいかず、Exchange Online導入でお問い合わせいただく。導入後は使いなれたOutlookを使い、異なる端末間でもメール同期がスムーズに。
また、近年の裁判手続きのIT化の流れで、TeamsによるWeb会議が普及。導入したMicrosoft 365 Business Basicプランで利用できるTeamsもご活用。
【特許事務所さま】
Microsoft 365活用のご相談でお問い合わせをいただく。
利用中のOfficeアプリのみのプランからアップグレードし、Teams、Exchange Onlineだけでなく、特にSharePointの活用で事務所内のファイルサーバーをクラウド化したいとのご要望。
デモを実施し、導入いただく。ファイルサーバーでは設定していなかった異なる案件データのアクセス制限も設定サポート。
まとめ
業界別デジタル化事例シリーズとして、今回は【士業】編をお届けしました。
行政の手続きや顧客の環境もデジタル化する流れの中、士業の皆さまも積極的に自らの業務のデジタル化を進めている印象があります。
士業ビジネス現場での具体的な課題例と、デジタルでの解決策をご紹介しました。
- 書類が多い
- 非デジタルのコミュニケーションが多い
- セキュリティを厳しくしたい
- 社内サーバーの管理が大変
- テレワークを導入したい
- ITトラブル対応に時間がとれない
また、導入が多い機器や設備、その利用目的についてご紹介しました。
- デバイス(PC、スマートフォン)
- ネットワーク機器(NAS、UTM、Wi-Fi)
- セキュリティ対策(ウイルス対策ソフト、UTM、バックアップ設定、ほか)
- 各種クラウドサービス
- ITサポート
- ホームページパック
- その他(複合機、テレワーク導入など)
最後に、士業のお客さまの事例もご紹介いたしました。
従来の複合機、NASやUTMなどのIT/OA機器に加え、ここ数年はMicrosoft 365をはじめとしたクラウドサービスの導入・移行のお問い合わせが増えている印象です。
また、セキュリティ対策についても、より高い関心が寄せられています。
士業ビジネスにおいても、業務の効率化にはデジタル化が有効な手段の一つです。浅間商事ではデジタル技術をより安全に、より活用していくためのご相談を承っております。ぜひお気軽にお問い合わせください。