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(※こちらの記事は2020年5月に公開されたものを、2022年9月に更新しております。)
2020年ごろより、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のために、テレワークを導入する企業が急増しました。
一方で、中小企業のお客さまからは、テレワーク導入について「何から始めてよいのか分からない」、「予算がとれない」といったお悩みが寄せられています。
「紙の書類が多く、テレワークはできない」、「実際に運用してみたが、業務が悪いので出社に戻った」という声も多くあります。
浅間商事は、コロナ禍で100社を超える中小企業のテレワーク導入をサポートいたしました。また、自社でも実践し、そのノウハウをお客さまと共有しております。
本記事では実際の事例を交えて、「テレワーク導入」を5つのステップに分けて解説いたします。
「テレワーク」とは
「テレワーク」は、「tele=離れた所」と「work=働く」をあわせた造語です。
情報通信技術(ICT=Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことを指します。(参照;一般社団法人日本テレワーク協会「テレワークとは」)
一般的にテレワークと言うと自宅から仕事を行う在宅勤務のことだけをイメージしがちですが、お客さま先や移動中にパソコンやスマートフォンなどを利用して働くモバイルワーク、会社以外の場所で勤務する形態もテレワークと呼びます。
近年、新型コロナウイルスの影響で在宅勤務(テレワーク)の機運が高まりましたが、もともとテレワークは、政府が「働き方改革」の一環として推し進めてきたものでもあります。
政府は2020年までに、「テレワーク導入企業を2012年度比で3倍」、「週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数を全労働者数の10%以上」とする目標を掲げていました。(参照;総務省「テレワーク推進に向けた政府の取組について」)
厚生労働省は、「テレワーク・デイズ」により2017年よりテレワークの一斉実施を行ってきました。これは東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催期間中の交通混雑緩和と、テレワークという働き方の定着を目的とした運動です。
浅間商事も2018年と2019年、この「テレワーク・デイズ」に参加し、テレワークを実施いたしました。そこで得られたノウハウをもとに、2020年、2021年と続いた緊急事態宣言下、全社テレワーク体制を実現しました。
「テレワーク導入」の5つのステップ
実際にテレワークを導入するにあたり、必要なステップを5つにまとめました。
- 情報収集・相談をする
- 機器・サービスの選定をする
- 予算を確保する
- 運用する
- サポートを受ける
1. 情報収集・相談をする
何から始めていいのか分からない、という方は、まずはテレワーク導入支援をしている会社に相談してみましょう。
一言で「テレワーク導入」といっても、テレワークを実現するためには様々なノウハウや商品・ソリューションを組み合わせる必要があります。必要な機器やサービスは、お客さまの状況により異なります。網羅的な情報がない場合、スムーズなテレワーク実施のために必要なものを漏らしてしまう可能性があります。
浅間商事のお客さまには次のような事例がありました。
- 【事例】金属加工業界(10人規模)
全社員がデスクトップパソコンを使っていた。緊急事態宣言を受けて取り急ぎ3名分のノートパソコンを会社で購入し、テレワークに使ってもらうようにした。 - 【事例】保育園業界(15人規模)
保育園が2か所あり、2か所の保育園をWeb会議でつなぐ計画をしていた。緊急事態宣言を受けて保育士の先生が自宅で仕事もできるようにするため、パソコン、Microsoft 365(Teams)とESETを導入。Web会議を、保育園だけでなく各保育士さんの自宅ともつながるようにした。
2. 機器・サービスの選定
次の3パターン※でテレワークを実現している中小企業のお客さまが多くいらっしゃいます。
- リモートデスクトップ:会社のパソコンがデスクトップや大きなノートパソコンで持ち帰りが難しい場合
- モバイルVPN(インターネットVPN)(最も多いパターン):ノートパソコンを持ち運び、自宅や社外から社内のサーバーにつなぐ
- クラウドサービス利用(増加中):いつでもどこでもどのパソコンやスマホ・タブレットからも仕事ができる
※「中小企業向け:導入しやすいテレワークの仕組み3選」として詳しく解説しております。あわせてご覧ください。
以下はテレワーク導入にあたり、実際に浅間商事がご提供している機器やサービスの例です。
- モバイルパソコン
自宅や、会社以外の場所での作業に必要になります。浅間商事ではご希望に応じてほぼ全メーカーのご提案が可能です。立ち上げから初期設定、ネットワーク接続、導入後のサポートまで対応いたします。 - インターネット回線
光回線の設定やWi-Fiルーター、スマホのテザリングなど、お客さまに合った方法があります。 - 電話/FAXの転送
会社の固定電話は、携帯電話に転送することができます(NTTのボイスワープなど)。クラウドPBXを導入すれば、固定電話をスマートフォンに内線として転送もできます。FAXは電子化により、受信も発信もPDFなどの電子データにすることで、紙での出力や送信が不要になります。 - Web会議やチャット(クラウドサービス)
インターネット経由で、電子メールやグループウェアなどの提供を行うサービスがあります。浅間商事ではマイクロソフト社のMicrosoft 365(旧Office 365)のTeams(チームズ)を特にお勧めしています。 - Web会議用カメラ・マイク
会議する人数や場所によって最適なものが異なります。各メーカーの製品から最適なものをご提案いたします。 - リモートデスクトップ
インターネット接続を利用し、社外のパソコンやスマートフォンなどの操作で社内のパソコンを遠隔操作する方法です。浅間では、この設定に必要な固定IP取得や、セキュリティ対策を支援しています。 - セキュリティ対策
セキュリティ機能を持ったルーター 「UTM(統合脅威管理)」や、ウイルス対策ソフトのESETなどをご案内しています。
3. 予算の確保
必要な機器やサービスが決まったら、予算を確保します。予算が厳しい場合は、機器とサービスの取捨選択をすることになりますが、難しい場合には、テレワーク導入支援をしている会社に相談しましょう。
浅間商事のお客さまには、次のような予算の事例がありました。
【事例】予算と導入機器・サービス
- ノートパソコンのみ:1台7万円×3台=21万円
- リモートデスクトップ導入:訪問料1万円+設定料6,000円×パソコン台数6台=4.6万円
- モバイルVPN導入:訪問料1万円+セキュリティ付VPNルーター利用料月額1.5万円+オプション利用料6万円=初期費用7万円、月額1.5万円
- クラウドサービス導入:Microsoft 365スタートパック15万円+Microsoft 365利用料月額540円×15名=初期費用15万円、月額8,100円
※価格は2020年時点の価格です。
※ITサポート会員様の場合訪問料無料、スタートパック半額。
なお、世界的な半導体不足やテレワーク需要の増加により、ノートパソコンやカメラ・マイクの在庫が少なくなっております。機種によっては納期に2週間から4週間ほどかかる場合もございますので、余裕をもってお早めにご相談ください。
助成金について
自治体によっては、テレワーク導入に助成金制度があります。浅間商事より社会保険労務士の先生をご紹介して、代理申請をしていただくこともできます。
- 【事例】製造業界(8人規模)
セキュリティ対策の強化としてUTMの導入を検討していた。テレワークにも活用できることを踏まえて、UTM導入とMicrosoft 365(SharePointとTeams)導入費用両方を、東京都と厚生労働省両方の助成金に申請。浅間商事は必要なものの選定と、お見積もりの提出をお手伝いいたしました。
4. 運用する
機器やサービスの導入が完了したら、実際の運用となります。使い方についてはもちろん、自社にあったスタイル、活用方法を見出していくことが大切です。
- 【事例】建築・設計業界(30人規模)
30台のデスクトップパソコン、すべてにリモートデスクトップによるテレワークができるように設定。在宅勤務はもちろん、現場からの直行直帰を増やすことができ、多くの社員から喜ばれた。
5. サポートを受ける
実際に運用を開始した後に、使い方がわからない、壊れた、といったトラブルが発生することがあります。社内で解決するリソースがない場合は、サポートサービスのご利用がお勧めです。
- 【事例】製造業界(10人規模)
モバイルVPNでテレワークを始めたが、今までできていたホームページの更新ができなくなってしまった。セキュリティ機能でホームページ更新ができない設定になっていたので設定変更して解決。 - 【事例】小売業界(50人規模)
自宅にインターネット回線がないため、iPhoneのテザリングで在宅勤務をしていた。しかし、月中にデータ容量を使い切り、仕事が進まなくなってしまった。急遽ソフトバンクのモバイルWi-Fiを手配して、仕事を再開することができた。
お客さま「テレワーク」導入事例
最後に、数年にわたり段階的にテレワーク体制を整えられ、今回の緊急事態宣言下でスムーズなテレワーク実施を実現されたお客さまの事例をご紹介いたします。
- 【事例】印刷業界(80人規模)
数年前から業務効率化のために、IT活用や社外で仕事ができるテレワークを段階的に実現してきた。5年前にセキュリティ対策としてUTMを導入。昨年3拠点をつなぐWeb会議システムを導入。Microsoft 365(Office 365)を社内の4名でテスト導入。今年UTMをより高速で多くの社員がモバイルVPNを利用できる上位機種に更新し、25名まで同時接続でテレワークができる体制を作る。
助成金を活用し、運用体制含め丁寧にテレワーク導入を実現させたお客さま事例もご紹介しております。
助成金を活用し、テレワーク(在宅勤務)導入を実現。ITサポートで在宅時のトラブルも解消
約1年かけてテレワーク導入をされたお客さま事例です。導入機器の検討、助成金申請、テスト運用、本稼働まで、大変丁寧に進められ、導入のみならず安定的な運用にも成功されました。
まとめ
「テレワーク」とは、在宅勤務を含めた場所や時間にとらわれない柔軟な働き方です。
新型コロナウイルスの影響で、急に推し進められた印象がありますが、もともとは「働き方改革」の一環でもあり、中小企業の皆様には今後も検討が必要になるテーマです。社員の定着や採用活動を進めるうえでも今後必要な要素になってくると思われます。
テレワーク導入の「情報収集・相談」、「機器・サービスの選定」、「予算の確保」、「運用」、「サポート」の5つのステップをご紹介いたしました。いずれのステップにも、専門知識があるとより一層スムーズで適切なテレワーク環境の導入が可能になります。
テレワークやIT活用は、一度導入して終わりではありません。利用しながら継続的に改善していくことで経営の生産性を高め続けることができます。
売って終わりではなく、その後も長くサポートや継続した情報提供・提案をしてくれるパートナーを見つけることが重要です。浅間商事では「次の10年を共に創る」というコンセプトで中小企業のテレワークやIT活用を「よりそうサポート」で一緒に進めてまいります。
お客さまの状況やご予算に応じたご提案をしております。テレワーク導入でお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。
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