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近年、多くの企業が業務のペーパーレス化を推進しています。電子化をすることには多くのメリットがあり、とても合理的な選択だと言えるのですが、導入に当たってはいくつかの課題が存在するのも事実です。
そこで今回は、ペーパーレス化のメリットを整理し、導入にあたっての課題とその解決策を共有したいと思います。
ペーパーレスを推進する6つのメリット
ペーパーレスを推進するメリットは本当に多く、多種多様な好影響を職場にもたらすことができます。
1. 印刷コストを始めとする様々なコスト削減
ペーパーレス化の最も代表的なメリットとして考えられるのが、印刷コストの削減であり、紙代だけでなく印刷代や廃棄代もカットできます。
実例を挙げるとすれば、たとえばOffice 365の活用です。資料をOffice 365の社内クラウドにアップすることで会議前の資料印刷をする必要がなく、印刷コストだけでなく印刷にかかる時間(人件費)も削減することができます。
また資料をデータでやり取りすることで郵送費用を削減する、他店舗間の会議をWebで行うことで移動費を削減するなど、様々な面でのコスト削減効果が期待できるでしょう。
弊社が活用している社内ポータルでは、マニュアルやチラシなどを電子化しています。また、会議資料もwebクラウド上で共有することで、会議前の資料印刷のコストを削減しています。
2. 業務効率化(ペーパーレス会議や資料検索性の向上)
ペーパーレス化を進めることは、業務効率化を進めることにもつながります。先ほどお話しした資料の印刷や資料の発送、会議のための移動になどが不要になることで、一つの業務にかかる時間がこれまでより大幅に短縮できるのです。
情報を電子データで共有・送受信することは、コスト削減だけでなく情報共有のスピードアップやアクセス自由度の向上にもつながり、まさに一石二鳥。時間や場所の制約も大きく減るため、テレワークや在宅勤務導入にも大きな推進力となるでしょう。
また、紙ベースで資料を保管している場合、一つの資料を探すのにも時間がかかることがありますよね。その点、ペーパーレスを進めてデータで管理すれば検索性が大きく増し、資料を探す時間までも短縮できるのです。
日々の業務を遂行する上で、何かを探している時間ほど無駄が大きくストレスがたまることはありません。
3. 資料保管スペースの削減
紙ベースで保管する資料を減らすことができれば、資料保管スペースも要らなくなります。キャビネットに資料を入れる必要性が低くなるため、職場レイアウトの変更が簡単になったり、フリーアドレス制が推進しやすくなったりいった効果が期待できるでしょう。
また、これまでより事業所運営に必要なスペースが小さくなりますので、オフィス空間の有効利用や賃料のカットにもつながります。
4. セキュリティ対策や情報管理対策に
ペーパーレスの重要な利点として挙げられるのが、情報管理やセキュリティ対策への効果です。電子データ管理なら、紙のまま資料を所持・保管していると高まる紛失や盗難による情報漏洩リスクを、大きく抑えることができます。
また、システムによる閲覧制限を設けることによって、情報を社員のみが閲覧できるようにしたり、さらには社員の中でも一部のメンバーが閲覧できるようにしたりと細かなセキュリティ対策をとることも可能になるのです。
5. 環境にやさしい
紙資源を使わないことは、そのまま環境問題への対応にもつながります。森林伐採による温暖化問題は今や全世界共通の問題であり、環境省も「COOL CHOICE(クールチョイス)」という国民運動を掲げて取り組んでいる重要課題の一つです。
そのため、当然企業もこれを無視して事業活動をする訳にはいかないのは、周知の事実と言えるでしょう。ペーパーレス化を推進することで利便性や合理性を高めるだけでなく、そのままCSR活動推進の一環とすることもできるのです。
6. BCP対策にも効果的
日本は災害大国とも言われ、大きな地震や台風など様々な被害が毎年のように発生しています。そのため、日本で事業活動を進める企業とって、BCP(事業継続計画)対策は欠かすことのできない重要課題の一つです。
紙で情報を保管していると、災害時の火災や事故などで消失してしまう危険性が高まります。そうなると再出力するまでにコストも時間もかかって復旧の大きな障害となったり、最悪の場合は情報そのものが永久に無くなったりする事態も想定されるのです。
情報や帳票を電子化してバックアップメディアを別の遠隔地に確保しておけば、低コストかつ少ないスペースで被害を防ぎ、速やかな復旧で事業継続が可能になります。
ペーパーレス化推進における課題と対策
いくつものメリットがあり、事業活動にとって非常に合理的なペーパーレス導入ですが、阻害要因として考えられることもいくつかあります。
そのためここでは、ペーパーレス化への課題となりやすい点とその解決策を3つに整理して共有いたします。
1. 一部の資料は紙で作成・保存する必要がある
ペーパレス化を進めて情報を電子共有しようとしても、中には電子化が認められない書類や一定の条件を満たさないと適正な保管文書として認められない場合もあります。
こういった点への対策としては、法令に対する理解を深め、社内制度やマニュアルを整備する必要が出てくるでしょう。また、電子化を推進するには社内だけでなく、取引先の理解を得ることも非常に大切です。
2. 導入費用の問題
「ノートPCやタブレットを配備したり、PDF化機能のある複合機に代えたり…」などといった具合に、導入にあたってはどうしても一定の初期投資費用がかってしまうことも、導入を見送ってしまう大きな要因の一つです。
なるべくお手頃な値段の製品を選択したいところですが、操作性や利便性、またセキュリティの面などからも、あまり費用を削りすぎるのにはリスクが伴います。
そこで大切になるのが、優先順位を整理して、少しずつペーパーレス化を進めていくことです。段階的なプランを策定することで、無理のないペーパーレス化が可能となるでしょう。
3. 電子化への抵抗感
また意外と大きな問題となるのが、ペーパーレス化に対する社員の抵抗感と言えるでしょう。経営者が合理性を理解して電子化を進めようとしても、多くの場合で
「紙の方がちょっとした時にメモをとりやすい」
「新しいシステムは操作方法を覚えるのが大変」
などといった否定的な意見が寄せられ、上手く進まない原因の一つになっているのです。
確かに紙を使った方が効率的な局面などは存在しますが、ペーパーレス導入が業務効率化につながるのは先述の通りですし、現在では操作性の高いツールも数多くあります。
そのため、この問題の根本的な解決には社員のリテラシー教育が大切と言えるでしょう。
また、スマホなどもそうですが、「最初は抵抗感があっても慣れれば意外と使いやすい」ということは沢山あり、とにかくまずは職場メンバーで使ってみることも効果的です。
ただし一度にペーパーレス化をすると、経営側からすると社員教育が大変なこともありますし、職場メンバー側からすれば適応が大変で業務に支障をきたすことも予想されます。その点からも、段階的にペーパーレス導入を進めることはやはり効果的でしょう。
ペーパーレス化の推進は会社全体のレベルアップにつながります!
ペーパーレス化の推進は印刷コスト削減や業務効率化だけでなく、様々な点で事業の推進に役立ちます。導入過程で企業の業務スタイルや構造が変革され、職場メンバーに対する業務効率化への意識付けやITリテラシー教育も行うことができるのです。
ペーパーレス化を進めることで、スピーディかつ合理的な「骨太な組織」を作り上げていきましょう。
ペーパーレス化によって生産性をアップする働き方をご紹介しました。便利なツールを活用して、働き方改革を進めましょう。
※追記:2020年4月22日「Office 365」は「Microsoft 365」に改名されました。