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本記事は、無料公開中の「中小企業のオフィス移転・リニューアル、IT/OA環境見直しガイドブック」抜粋版です。
中小企業のオフィス移転・リニューアル、IT/OA環境見直しガイドブック ~中小企業IT担当者お助けeBookシリーズ
本書は、中小企業のオフィス移転・リニューアルで、IT/OA機器の移設・改善にスポットを当てた全24ページのガイドブックです。オフィスの移転・リニューアルを検討中/準備中の中小企業のIT担当者さま、移転・リニューアルを機にIT/OA環境を見直したい、「新しい働き方」を実現させたいお客さま、ぜひご覧ください。
中小企業のオフィス移転・リニューアルで、IT/OA機器の移設・改善にスポットを当てた全24ページのガイドブックです。
オフィスの移転・リニューアルを検討中/準備中の中小企業のIT担当者さま、移転・リニューアルを機にIT/OA環境を見直したい、IT/OA機器の見直しで「新しい働き方」を実現させたいお客さまに、おすすめです。
より詳細を知りたい、手元に置いておきたい、印刷して共有したい場合などは、ぜひPDFをダウンロードしてご活用ください。
オフィスの移転・リニューアルで「IT/OA環境見直し」をおすすめする理由
事業拡大で手狭になった、より利便性の高いところに引っ越したい……など、中小企業のオフィス移転やリニューアルは、さまざまな理由で行われています。
IT/OA機器の移設は、オフィスの移転・リニューアルのプロセスの中でも重要なポイント一つであり、IT/OA環境改善のチャンスです。
オフィス移転検討・実施理由の回答として「業務効率化・生産性向上」、「コスト削減」、「オフィス環境改善」の合計が全体の43%という調査結果もあります※。
※グラフ参照元:「企業の不動産ニーズに関する調査レポート(2022年第3Q)」(三菱地所リアルエステートサービス株式会社)
移転・リニューアルは通常、コストだけでなく業務としても大きな負担です。多くの場合「今ある環境をそのまま移す」ことが重視され、機器は買い替えず移設がメインです。
しかし、IT機器の移設には業者への事前相談は欠かせません。また、古い機器が出てきたり、設置・設定済みの機器を一度取り外したりすることから、課題を洗い出して改善ポイントを絞り、「新しい働き方」を取り入れながらIT/OA環境見直しをするタイミングとして、大変適しています。
移転・リニューアル時のIT担当者の仕事
退去と移転先でのスムーズな業務再開のために、IT担当者の役割は重要です。業務を事前に把握し、スケジュールを立てましょう。
なお、移転担当者とIT担当者が異なる場合は、移転担当者との連携が大切です。
- (業務1)課題の洗い出し:現在のオフィス環境の課題を洗い出す。気になるポイントを絞り、優先順位を付ける。
- (業務2)現オフィス「契約確認」:機器・回線などの各種契約を確認・整理。契約書類がない場合、問い合わせて契約内容を確認。場合により解約・新規契約が必要になり、早めの対応が必要。
- (業務3)新オフィス「レイアウト・内装デザイン」:利用する人数から机、椅子、照明、ワゴン、キャビネットなど什器の配置・内装デザインを検討※。出入口などの物理的なセキュリティも重要。(※什器は主に総務担当者の業務のため、割愛いたします)。
- (業務4)新オフィス「ネットワーク・電源設計、セキュリティ設計」:Wi-FiやUTMなどのネットワーク機器、複合機、サーバーやNAS、電話(主装置)などについて、電源の数や位置、LANや電話などケーブル類の配線、安全性、ドアの開閉向きなどから、機器の適切な設置場所を決定。
- (業務5)機器選定と購入手続き:新規購入が必要な機器やサービスの購入手続きをする。納入に時間がかかる機器や、設置工事や設定が必要なものもあり、早めに専門業者へ相談を。
- (業務6)引っ越し・退去:旧オフィスから退去し、新オフィスで業務を再開。スムーズな業務再開のためにも、ここまでの業務1~5が重要。なお、旧オフィスの機器・ケーブル類の撤収についても、事前に確認・手配を。
IT/OA見直しカテゴリー8選
本章では、移転・リニューアルにおける見直しポイントを、機器・サービスのカテゴリー別にお伝えします。
①インターネット回線・プロバイダー
インターネット接続を前提とする業務の増加と共に、インターネットは、オフィスの重要なインフラの一つになりました。インターネット環境の改善は、業務効率化に直結する重要な要素です。
移転・リニューアル時の確認事項
- 現在の契約を確認
- 同じ契約を利用するかの確認(速度、料金、対応エリア)
- (移転の場合)住所変更、工事の有無
「回線業者」と「プロバイダー」選定ポイント
- 地域と建物で業者を絞る
- 高速を謳ったサービスを比較
- 建物の条件で価格が変わることがあるため、速度と価格とのバランスで比較
回線や契約について
- 回線:高速かつ安定性が高い光回線が基本。
- プロバイダー:個人・法人両方申し込めるプロバイダーや格安系など、そのエリアや時間帯に利用者が多いと遅くなることが多い。
- 法人向けプラン:会社によって異なり、内容はまちまち。しかし、法人向けプランは固定IPやセキュリティ、オンサイト保守などの業務に適した付帯サービスがあることも。
②社内ネットワーク
中小企業のオフィスにもネットワーク対応機器が増えています。移転の場合、新オフィスで機器の再設定や再配線は必須のため、各種機器、ケーブル、配線など、改善・見直しの絶好のチャンスです。
移転・リニューアル時の確認事項
- 現オフィス:利用している機器と構成の整理
- 現オフィス:固定IPの確認(設定変更の有無、システムでの利用有無など)
- 新オフィス:接続端末台数(増減の確認)
- 新オフィス:設置場所(配線、ルーター・APの台数、位置など)
社内ネットワークの見直しポイント
- 1か所を高速化・安定化しても、他の部分が低速・不安定(ボトルネック)になることがある。
- ネットワーク機器は法人向け製品を推奨。適切な利用人数や端末数に対応することで、安定かつ高速で快適な通信が実現。
- Wi-Fi 6など最新規格に対応した機器に買い替えることで、スピードアップが図れる。
- ケーブルやハブが古いままで、これらが遅延の原因となっている事例が少なくない。
- ケーブル類が見えないところで断線している、配線が誤っている等の問題が見つかることも。
③複合機・プリンター
複合機の買い替え事例は限定的ですが、複数の複合機を1台にまとめたり、オフィスを広げた場合に逆に増設したりするケースがあります。移設・設置の注意事項についてご紹介します。
移設についての注意事項
- リースの場合はまずリース会社へ連絡を。
- 移設は専門業者への依頼が必須。
- 電源や配線だけでなく扉の幅や開閉方向なども事前に情報共有を。
設置場所についての注意事項
- 十分な容量の電源を確保する。
- 超音波加湿器を置かない。液体をこぼしそうな場所や、直射日光に当たる場所に置かない。
- メンテナンスできるスペースを確保する。
④パソコン
パソコンは、移転・リニューアルの際に一斉見直しするケースはほぼありません。ただ、移転の際にサポートが切れた古いパソコンが見つかるケースがあります。
パソコン見直しのポイント
- サポート切れのパソコンは買い替えを
- ノート型パソコンがおすすめ
- 業務に合ったパソコン選び
退去時などに、古いパソコンが見つかることがありますが、サポート切れのOSを、業務で利用するのは大変危険です。サポートが切れたパソコンは買い替えをおすすめします。
また、現在デスクトップ型パソコンをご利用の場合、移転・リニューアル前にノート型への移行がおすすめです。管理のしやすさ(場所を取らない)、社内での柔軟な利用(場所を固定しない)、外での利用(テレワーク)など、ノート型にはさまざまなメリットがあります。
移転・リニューアル、もしくはフリーアドレス化、簡単なレイアウト変更においても、ノート型は移動が手軽です。Wi-Fi導入にあわせて、ノート型に変更されるお客さまもいらっしゃいます。
快適な操作環境を重視し、希望にあったスペックのパソコンを手配されることをおすすめします。
⑤サーバーやNASなど
サーバーやNASは通常、業務に欠かせない重要なシステムやデータが利用されています。システムやデータの破損を防ぎ、業務停止を最小限にとどめるためにも、移転・リニューアルの際に慎重な作業が必要になります。
サーバールームについて
サーバーやNASは精密機器であり、業務に直結するシステムやデータを扱っています。また、通常24時間365日稼働しています。そのため、移転・リニューアルを機に、できるだけサーバールームの設置をおすすめしております。
- セキュリティ対策:部屋は施錠し、かつ出入りできる人を制限・記録。
- 空調:エアコンやファンなどで温度・湿度を保つ。
- 防塵:ファンなどにほこりが詰まると動作にも影響
- 他:機器を固定し、地震などによる落下防止策を。蹴らないように床置きしない。
サーバールームの設置が難しい場合は、防塵ラック※もおすすめです。埃を防ぐ防塵フィルターと温度上昇を防ぐ廃熱ファンが付いたラックがあります。浅間商事では、10万円前後のNASとUPSが2台ずつ入る防塵ラックをご利用のお客さまが多いです。
サーバーやNAS移設のポイント
移設は次のような手順で行われます。
- バックアップの取得・確認。
- シャットダウン。
- 梱包作業、運搬、開梱。
- 再起動と動作確認、設定、端末からの接続確認など。
移設において重要なポイントは次の5つです。
- 停止期間を最小限にする。
- 移送前にバックアップを取得する。
- 安全に移送する。
- 移転先で接続確認(バックアップ設定確認含む)。
- 停電、過電流対策のためUPSの設定、バッテリー寿命を確認する。
⑥セキュリティ
移転のタイミングでのセキュリティ対策は多忙で難しい場合は、自社の懸念点をリストアップし、移転作業が落ち着いてからの対策もおすすめです。ただし、物理セキュリティは、レイアウトや什器が変わる移転・リニューアルのタイミングでの見直しがベストです。
物理セキュリティ
移転・リニューアルにおいて、まずご確認いただきたいのが新オフィスの物理セキュリティです。機密情報を扱うサーバーなど、物理的資産を守るための対策です。普段は簡単に見直しできない点でもありますので、ぜひ移転・リニューアルの機会にご確認ください。
ゾーニング:
オフィスのセキュリティには、ゾーニングという考え方があります。外部の人が出入りする場所、社員のみが利用する場所、そして一部の権限を持つ人だけが入れる場所では、それぞれセキュリティのリスクが異なります。そのようなゾーン(区画)を把握しながら、機器の設置場所を決めることが大切です。
物理セキュリティ対策機器の例:
- 入退室管理(ICカード認証、指紋認証、顔認証など)
- 警備システム
- 監視カメラ(ネットワークカメラ)
- シャッター、防護柵
- 物理鍵、セキュリティワイヤー など
⑦電話
電話は移転の際、工事がほぼ必須です。回線整理や契約見直しで月額料金が下がる、新しいサービスの利用で機能が豊富になる可能性があります。
移転・リニューアル時の確認事項
- 電話番号の変更:基地局ごとに管理されているため、移転で基地局が変わると電話番号も変わる可能性がある。
- 回線・電話機増設の有無の確認:現在の主装置で、回線や端末をどこまで拡張できるかを確認。
- 業者への相談:電話の構成や、主装置の設置場所など、スケジュールに余裕を持った相談が必要。
見直しポイント
- 回線契約を整理し、使っていない不要な番号は廃止する。
- 導入後10年経つ場合は修理部品が無い可能性が高いので入替も検討。
- 移転届、工事予約など、時間がかかるので早めの手配が必要。旧オフィスの撤去工事についても手配を。
なお、ダウンロード版では、従来の電話回線に加え、主装置をクラウド化しインターネット回線を利用したクラウドPBXについてもご紹介しています。
⑧クラウドサービス
クラウドサービスはインターネット経由で利用するサービスのため、多くの場合、機器類を物理的に移動させる必要がありません。端末とインターネットがあれば、新オフィスでも多くの業務をスムーズに再開できます。
移転・リニューアル時のメリット
- 機器の移動がないため、コストがかからない※。
- 移転に伴う業務停止がない。
- BCP対策にもなる。
※VPN経由でデータセンターを利用しているサービスは、設定した業者に確認しましょう。
クラウドサービスの例
- クラウドストレージ
- クラウドバックアップ
- クラウドメール
- 各種アプリ、基幹系ツール(人事、経理など)
まとめ
IT/OA機器の移設は、オフィスの移転・リニューアルのプロセスの中でも重要なポイント一つであり、IT/OA環境改善のチャンスです。
移転・リニューアルは多くの場合、機器は買い替えず移設がメインです。
しかし、課題を洗い出して改善ポイントを絞り、「新しい働き方」を取り入れながらIT/OA環境見直しをするタイミングとして、大変適しています。
移転・リニューアル時のIT担当者の仕事として、担当者の仕事の流れをご紹介しました。
- (業務1)課題の洗い出し
- (業務2)現オフィス「契約確認」
- (業務3)新オフィス「レイアウト・内装デザイン」
- (業務4)新オフィス「ネットワーク・電源設計、セキュリティ設計」
- (業務5)機器選定と購入手続き
- (業務6)引っ越し・退去
また、移転・リニューアルにおける見直しポイントを、機器・サービスのカテゴリー別にお伝えしました。
- インターネット回線・プロバイダー
- 社内ネットワーク
- 複合機・プリンター
- パソコン
- サーバーやNASなど
- セキュリティ
- 電話
- クラウドサービス
なお、本記事はダウンロード版の抜粋版です。
ダウンロード版ではキーワード解説、移転・リニューアルチェックリストの他、役立つコラムや事例も多数掲載しております。
ぜひダウンロードして、移転・リニューアルにお役立てください。
中小企業のオフィス移転・リニューアル、IT/OA環境見直しガイドブック ~中小企業IT担当者お助けeBookシリーズ
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